本日は卒業式でした。皆、素敵な笑顔でした。学科長はこんなことを話しました。
皆さんへの気持ちを述べる前に、やはり、今も多くの苦しみを抱えている、被災された方、そのご家族、関係者の方々に、心よりお見舞い申し上げます。そうした中であっても、わずかな光に目を向け、喜びや楽しみに心躍らせ、毎日の暮らしを希望や信頼という言葉に代表される、互いに認め合い、褒めあい、理解しあうことがとても大切で、素敵な人生を歩むために必要であると私たち日本人は理解しました。その素敵な、大切な出来事のひとつとして、今日は皆さんの卒業を心からお祝いしたいと思います。
酪農学科を本日卒業される、第49期161名の卒業生の皆さん、まことにおめでとうございます。さまざまな理由で、皆さんとともに入学しながら今日の学位授与式を迎えることができなかった友もいます。卒業生皆さんのことはもちろんですが、このキャンパスで、いっときであっても、酪農学科の一員であった人達のことを忘れることはありません。そうした人も私たちの大切な友人です。
皆さんは、大人たちから、こんなことも知らないのか、酪農学園大学生は勉強不足だ。という叱咤激励を受けることと思います。それは社会に出た祝福の言葉です。喜んでこうした先輩の声を聞きましょう。酪農学科、大学での学びは、知識の集積量を比較し、単に増やすための学びでなかったことは、皆さんもよく判ったと思います。大学での生活の全ては、新しいものを発見し探求する喜び、継続して学ぶ意義と、自ら学ぶ姿勢、友人と語り合い自己を形成する人生の知的奥義を得ることにあります。
皆さんのような22 歳の若者が、50 歳の人間より知識量が少ないのは当たり前です。技術的にも劣るのは仕方のないことです。皆さんは、社会の一番のビギナーです。しかし、皆さんには学び習う能力があります。自ら、継続して学ぶ、理解するのが、ゆっくりであれば、人の2 倍の時間をかけて学び続ける。そうした態度です。今後も学ぶために、常に自らを律してください。社会でもよき友を得て、語り合ってください。その姿勢こそが、私たちが、酪農学科で皆さんに伝えたかったことなのです。
卒業生の皆さんは、いよいよ一人前の社会人として活動を始めます。一人前の社会人は、自分自身に責任を持ちます。あわせて、この社会に責任を持つこと、大切な使命感を持つことになります。社会的責任とは、皆さん自身の心です。悪には対抗し、正義には賛同する。自制心と忍耐力を持ち、自分の信じる道を追求してください。とりあえずの妥協のために、自分自身に背く必要はありません。頑固だとか、不器用だとか言われることがあるかもしれません。それは、しかたのないことです。
社会的絆への強い意識、それは酪農学科卒業生の皆さんに強く感じることができる伝統的意識です。困った人へ手を差し伸べることは、酪農賛歌にも歌われた、酪農学園大学の本質です。しかしそれは、今すぐの活動だけが該当するわけではありません。皆さん一人ひとりがそれぞれの場で、必要とされる瞬間に、逃げることなく、社会のため、他の人の利益のために活動できるよう、実力を養うことも、何より必要です。
皆さんは、今日、確かに、酪農学園大学、酪農学科を卒業します。今後は、卒業生として、いつも母校を見つめてください。自信満々なとき、悩み迷ったとき、孤独を感じたとき、いつものように「おはようございます」と大学を訪ねてください。私たち教員は、ここにいて皆さんを待っています。
今日の卒業式、学位授与式は別れの時ではありません。新しい人生が始まる、とても素敵なときです。毎週月曜日の朝の演習で再会したように、10年後、20年後、50年後にもう一度、酪農学園大学で出会うための、今日は素敵な別れの日として記憶してください。最後になりましたが、本日の卒業式にご参列くださいましたご両親、ご家族、関係者の方々にも、心からお慶び申し上げます。卒業生皆さんの、新しい、素敵な旅立ちを祝福して、私の餞(はなむけ)の言葉といたします。本日は、本当におめでとうございます。
2012年3月21日
酪農学園大学 酪農学科長 森田 茂